【無料】PDFをExcelに変換する方法

PDFに保存された表データを編集したり分析するために、Excel形式に変換したい場面は多々あります。しかし、PDFをExcelに変換する際にはレイアウトが崩れたり文字化けが発生するなど、さまざまな問題に直面しがちです。そこで本記事では、費用をかけずにPDFをExcelに変換できる方法を詳しく紹介します。オンラインの無料ツールからデスクトップソフト、Googleドライブを使った方法、さらには手動での変換テクニックまで網羅し、精度や使い勝手の比較、注意点について解説します。

オンラインでPDFをExcelに無料変換するツール

インターネット環境とブラウザさえあれば、インストール不要でPDF→Excel変換ができるオンラインツールが数多く提供されています。手軽に試せる反面、機密性の高いPDFをアップロードする際のセキュリティや、無料版の制限に注意が必要です。ここでは人気のオンライン無料ツールを紹介し、それぞれの特徴や精度、制限事項を見てみましょう。

iLovePDF（PDF to Excel）

iLovePDFは基本機能を無料で利用できる日本語対応のPDF変換サービスです。使い方はシンプルで、「PDFからExcel」の機能を選択してファイルをアップロードするだけ。アカウント登録不要で、無料版でも時間あたりの処理ファイル数に制限がないため、複数ファイルの連続変換も可能です。変換エンジンには高精度なSolid Documents社の技術が使われており、レイアウト保持力も高めです。

ただし無料版ではOCR機能（画像化されたPDFから文字を読み取る機能）は利用できません。スキャンPDFの変換には対応しておらず、その場合は月額525円のプレミアムプラン加入が必要になります。テキストデータのPDFであれば、シンプルな表はもちろん複雑な表でも比較的元の書式を保ってExcelへ出力できます。さらにiLovePDFはスマホアプリも提供しており、モバイルから直接PDFをExcelに変換するといった使い方も可能です。

参考：iLovePDF無料版の制限は、1ファイルあたり最大15MB程度までとされています。通常の表計算程度のPDFなら問題ありませんが、大容量ファイルは分割するか他の方法を検討しましょう。

→ [iLovePDF公式サイト](https://www.ilovepdf.com/ja/pdf_to_excel))

Smallpdf（PDF→Excel変換）

Smallpdfは21種類以上のPDFツールを提供する人気サービスで、PDFからExcelへの変換機能も備えています。ドラッグ＆ドロップでファイルをアップロードするだけで即座に変換が始まり、難しい操作は不要です。日本語にも対応しており、基本的な表であればレイアウトをかなり忠実に再現してExcelファイルを生成できます。

Smallpdfも無料版でアカウント登録なしに利用できますが、使用回数に厳しい制限があります。無料ユーザーの場合、1日に2ファイルまでしか処理できません（※以前は1時間に2ファイルまでなどの制約も報告されています。それ以上の変換には1時間待つか、有料版へのアップグレードが必要です。また、ファイルサイズも15MB程度までに制限されています。Smallpdf上では追加編集機能も提供されていますが、PDFからExcelへの変換自体は無料枠で可能な範囲で行い、必要に応じて結果を確認・調整すると良いでしょう。

SmallpdfはUIが洗練され操作しやすい点が魅力で、初心者でも迷わず使えます。ただし大量のファイル変換や大きなPDFの変換には向かないため、少数のファイルを手早く変換したい場合に適しています。

→ [Smallpdf公式サイト](https://smallpdf.com/jp/pdf-to-excel)

Adobe Acrobatオンラインツール

PDFの開発元Adobeが提供するAcrobatオンラインの「PDFをExcelに変換」ツールは、精度の高い変換を求める方におすすめです。ブラウザから直接公式サイトにアクセスし、PDFファイルをアップロードすれば自動的にExcel（.xlsx）に変換されます。Adobe Acrobat Onlineの最大の利点は変換精度が高い点で、複雑なレイアウトや多数の表を含むPDFでも元の配置を保ったままExcelに変換可能とされています。ビジネス文書などレイアウトが重要なファイルの変換に最適で、Adobe公式のサービスという信頼性から機密データの処理でも安心感があります。

Acrobatオンラインは基本的に無料で使用可能で、ファイルをドラッグ＆ドロップするだけで変換結果をダウンロードできます（Adobeアカウントへのログインは必須ではありませんが、ログインすると変換後ファイルをクラウドに保存することもできます。なお、スキャンPDFに対してはOCRによる文字起こしが必要になりますが、AdobeのオンラインツールでもOCR機能は提供されています。無料枠でどこまでOCR変換できるかはファイルによりますが、結果が芳しくない場合はAdobe Acrobat Proの無料体験版（7日間）を利用して高度なOCR変換を試す方法もあります。

補足：Adobe Acrobatオンラインはファイルアップロード後に自動削除されるセキュリティ対策が施されており、アップロードしたPDFが長時間サーバーに残らないようになっています。

→ [Adobe Acrobat PDF→Excel（オンライン）](https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/pdf-to-excel.html)

CleverPDF（完全無料の多機能ツール）

CleverPDFは44種類ものPDF関連機能を備えたオンラインサービスで、「PDF→Excel」変換もその一つです。会員登録不要・完全無料で利用でき、他のサービスに比べ機能が非常に豊富なのが特徴です。使い方はやはりファイルをアップロードして変換ボタンを押すだけと簡単で、処理後すぐにExcelファイルをダウンロードできます。広告表示も控えめでストレスなく使えるでしょう。

CleverPDFは無料にもかかわらずPDFパスワード解除や画像抽出、ページ編集など多彩な機能を提供しており、PDF活用の万能ツールとして便利です。肝心のPDF→Excel変換精度もシンプルな表であれば問題なく、レイアウト崩れも少ない印象です。日本語テキストの抽出も可能です。ただし、こちらもOCR機能については記載がないため、スキャンされたPDFの表は変換が難しい場合があります。スキャンPDFをCleverPDFでアップロードすると画像のままExcelに配置されてしまう可能性が高いので、文字データとして編集したい場合は別途OCRツールを組み合わせる必要があるでしょう。

無料で幅広い機能を試せるCleverPDFは、「とりあえず色々なPDF機能を使ってみたい」という中級者にもうってつけです。Excel変換以外にも役立つ機能が揃っているので、一度ブックマークしておくと便利かもしれません。

→ [CleverPDF公式サイト]([https://www.cleverpdf.com/jp](https://www.cleverpdf.com/jp/pdf-to-excel))

他のオンラインツール：上記のほかにも、Soda PDF（バッチ処理やクロスプラットフォーム対応が特徴やXodo PDF, LightPDF, PDFtoExcel.com など多数のオンラインサービスがあります。たとえばPDFtoExcel.comはメールアドレス不要でアップロード後即変換してくれる専門サイトで、どんなに複雑な表でも正確に変換されるとうたわれています。さらにスキャンPDFにも対応し、最新技術で数値データを正確に読み取るOCR機能も備わっています。それぞれ特徴が異なるため、用途やファイルの性質に応じて使い分けましょう。

無料で使えるデスクトップソフトウェア紹介

オンラインではなくオフライン環境でPDFをExcelに変換したい場合や、社外秘データなのでネットにアップしたくないといった場合には、PCにインストールして使うソフトウェアが役立ちます。デスクトップ向けのツールはネット接続不要で利用できるためセキュリティ面で安心なのが利点です。一方で対応OSやインストール手順の確認、ソフトごとの習熟が必要になる場合もあります。ここでは無料で利用可能な代表的ソフトを紹介します。

Tabula（オープンソースの表抽出ツール）

TabulaはPDF内の表データを抽出することに特化したオープンソースソフトウェアです。Javaベースで動作し、ブラウザ経由のGUIでPDFを読み込んでテーブル部分を選択すると、CSVやExcel形式でデータを取り出すことができます。特徴は、PDF中の表を画像ではなくテキストデータとして抽出できる点です。一般的なPDF変換ツールでは内部的にOCR処理を行うため、認識結果によっては表の罫線がズレたりセルの結合が崩れたりすることがあります。しかしTabulaはテキストとして埋め込まれた表データを直接抽出するため、数値の誤認識や項目ずれが起きにくいのが強みです。

TabulaはWindows/Mac/Linuxで利用可能で、公式サイトからダウンロードした後に起動すると自動的にブラウザが開きます。そこで抽出対象のPDFを選び、ページ内の表領域を指定するとデータを取り出せます。とくに列数が多い表やページをまたぐ大きな表でも、正しく範囲指定すればExcelで再利用できるデータを得られます。政府統計のPDFなど大量のデータを扱う際に重宝するでしょう。

注意点：TabulaはPDF内のテキスト抽出に頼るため、画像化された表には対応できません。スキャンした紙の表をPDF化したものなど、文字情報を含まないPDFではうまく動作しないので、その場合はOCR処理可能な別ソフトが必要です。また、Java実行環境が必要になる点も留意してください。

その他のオフライン無料ソフト

他にも、オフラインで使える無料ツールとしてはLibreOfficeの活用が挙げられます。LibreOffice自体はPDFを直接Excelに変換する機能はありませんが、付属の「Draw」アプリでPDFを開き、表をコピーして「Calc」へ貼り付けることで簡易的に変換できます。また、Microsoft Wordがインストール済みであれば、後述する方法と同様にPDFをWordで開いてからExcel形式で保存し直すことも可能です（Word経由の方法については後述）。これらは専用ソフトではありませんが、新たなソフトを入れずに済む点で有用でしょう。

近年はPDF編集ができるフリーソフトも増えており、中には有料級の機能を持つものもあります。例えばPDF-XChange Editor（無料版あり）はPDF閲覧ソフトですが、ExcelやWord、画像形式への変換機能も搭載しています。ただし、高度な変換機能は有料ライセンスが必要なケースもあり、無料範囲では出力ページ数や透かし挿入などの制限がある場合があります。導入前に無料版の機能範囲を確認すると良いでしょう。

Googleドライブ＋スプレッドシートでPDFをExcelに変換

ソフトをインストールせず、身近なクラウドサービスであるGoogleドライブを使ってPDFをExcel化する方法もあります。GoogleのOCR機能とスプレッドシートを組み合わせることで、無料でPDF内の表を抽出可能です。その手順を順に見てみましょう。

GoogleドライブにPDFをアップロード：まずGoogleアカウントでドライブにアクセスし、変換したいPDFファイルをドラッグ＆ドロップまたは「+新規」→「ファイルのアップロード」からアップします。アップロードが完了したら、ドライブ上にPDFが保存されます。
GoogleドキュメントでPDFを開く：アップロードしたPDFを右クリックし、「アプリで開く」→「Googleドキュメント」を選択します。するとPDFの内容がGoogleドキュメント上で開かれます。ここでGoogleのOCR機能が働き、画像ベースのPDFであってもテキスト化されます。PDF内の表もこの時点で表形式のオブジェクトまたはテキストデータとして認識されているはずです。開かれたドキュメント上で、Excelに貼り付けたい範囲（表部分）を選択しコピーします。
Googleスプレッドシートに貼り付け：次に新規のGoogleスプレッドシートを作成し、先ほどコピーした内容をシート上に貼り付けます。うまくいけばPDF上の表がそのまま行列に収まった状態で貼り付けられ、編集可能な表データに変換できています。レイアウトが崩れている場合は、貼り付け時に書式なしでペーストするか、手動でセルの結合や列幅調整を行ってください。
Excel形式でダウンロード：スプレッドシートに表データとして取り込めたら、「ファイル」メニュー→「ダウンロード」→「Microsoft Excel（.xlsx）」を選択します。これで手元のPCにExcelファイルとして保存されます。

Googleドライブ経由の方法は、追加ソフトが不要でどこからでも実行できる手軽さが魅力です。また、OCR機能によって画像化されたPDFの文字も自動認識されるため、表以外のテキスト情報もまとめて抽出したい場合に有効です。ただし、レイアウトの再現性は完璧ではない点に注意しましょう。複雑な表はセル結合の崩れや文字ずれが起こりやすく、図形や画像は無視されてしまいます。必要に応じてダウンロードしたExcel上で体裁を整える手間が発生することもあります。

変換精度のポイント：GoogleドキュメントのOCR精度は年々向上していますが、それでも元のPDFの品質に左右されます。文字が読み取りづらいPDFや装飾が凝ったレイアウトのPDFでは、データ化した際に想定と異なる配置になることがあります。変換後のExcelデータは必ず目視で確認し、必要に応じて手動修正するようにしましょう。

その他の手動変換方法とコツ

上記以外にも、専用ツールを使わずに手持ちのソフトや機能でPDFをExcel化する方法があります。環境やPDFの種類によっては、これらの方法が簡単かつ確実な場合もあります。代表的な手法をいくつか紹介します。

Excelの「データ取り込み」機能を使う：Excel 2021以降やOffice 365版のExcelには、PDFから直接表を取り込むPower Query機能が搭載されています。Excelの「データ」タブから「データの取得」→「ファイルから」→「PDFから」を選択し、対象PDFを指定すると、PDF内の検出されたテーブルを選んでシートに読み込むことができます。これは最新機能だけあって精度が高く、もっとも簡単で確実な方法です。利用できる環境であれば真っ先に試してみましょう。
Microsoft Wordを経由する：ExcelのPDF取り込み機能が使えない場合は、WordでPDFを開いてからコピー＆ペーストする方法が有効です。Word 2013以降はPDFを直接読み込んで編集可能なDocx形式に変換できます。手順は、Wordを開いてPDFファイルを「開く」操作で読み込むだけです。ただし画像ベースのPDFはうまく読み込めないことがあります。テキストとして読み込めたら、文書内の表部分を選択してコピーし、新規Excelに貼り付けます。この方法だと表形式や罫線もかなり維持された状態で貼り付けられ、列幅の調整程度の修正で済むケースが多いです。Word変換時に若干レイアウトが乱れることもありますが、その際はWord上でセル結合など整えてからコピーすると良いでしょう。
PDFビューアから直接コピーペースト：PDFがテキストベースであれば、Adobe Acrobat Readerなどのビューアで表をドラッグ選択してコピーし、Excelに貼り付けることもできます。環境によってはうまく表形式で貼り付かない場合がありますが、その場合でも各行がタブやスペース区切りのテキストとして貼り付くので、Excelの**「区切り位置指定ウィザード」（テキストを列に分割）機能を使えば表形式に整形可能です。ブラウザ（ChromeやEdge）でPDFを開いて同様にコピーする方法も有効です。特に表が1ページ内に収まる簡単なレイアウト**であれば、この手動コピーでも十分対応できます。
テキストエディタ経由で整形する：PDF内テキストを一旦メモ帳などプレーンテキストに貼り付けてから、不要な改行や空白を整えてExcelに持っていく裏技もあります。例えば全角スペースをタブに置換してからExcelに貼り付けるといった工夫で、列ずれを防ぐことができます。ただし手間がかかるため、他の方法が使えない特殊ケース向けと言えます。

上記のような手動方法を組み合わせれば、追加のソフトを導入しなくてもかなりの場合にPDF表を取り込むことが可能です。ポイントは元PDFの性質に合わせて方法を選ぶことです。例えば、「画像スキャンのPDF」なのか「デジタルデータのPDF」なのかで最適なアプローチが変わります。画像スキャンPDFなら素直にOCRツール（GoogleドライブやAdobe OCR、フリーのOCRソフトなど）の活用を検討し、デジタルPDFならコピー＆ペーストやOffice機能で対処する、といった具合です。

また、変換後のチェックはどの方法でも欠かせません。文字化けしていないか、桁数の多い数値が指数表記に変わっていないか、日付や時間が勝手にExcelの書式設定になっていないかなど、項目ごとに確認しましょう。特にExcelでは先頭の0が落ちる（例: 「0123」が「123」になる）ことや、意図しない日付変換（「1-2」が「1月2日」になる等）が起こりえます。必要に応じてセルの表示形式を「テキスト」に設定してから貼り付け直すといった対処も有効です。

まとめ

無料で利用できるPDF→Excel変換の方法を、オンラインサービス、デスクトップソフト、Googleドライブ、手動コピーの観点で詳しく紹介しました。PDF内の表をExcelに変換することで、データ編集や再計算が容易になり業務効率化につながります。今回取り上げた方法はどれもコストゼロで試せますので、まずはお手元のPDFで変換精度を比較してみてください。それぞれメリット・デメリットがありますので、変換するPDFの種類（テキストPDFか画像PDFか、表の複雑さなど）や求める精度に応じて最適な方法を選ぶと良いでしょう。

特にオンラインツールは手軽さで優れていますが、機密データの扱いや無料版の制限に注意が必要です。一方、オフラインソフトやOffice機能は初期設定の手間があるものの、安定した変換精度やセキュアな処理が可能です。それぞれをうまく使い分け、PDF資料の有効活用に役立ててください。

本記事で紹介した以外にも、当サイトではPDF活用に関するさまざまな解説記事を公開しています。「PDFをWordや画像に変換する方法」や「PDFの結合・分割の手順」など、中級者の方にも役立つ情報を取り揃えています。また、当サイトでは独自のPDF編集・変換ツールも提供しております。ブラウザ上で動作する無料ツールで、PDFの圧縮やページ編集、他形式への一括変換などが可能です。興味のある方はぜひそちらもお試しください。PDF変換の知識とツールを駆使して、日々の業務効率アップにお役立ていただければ幸いです。